美術協会「風」主催
第31回 展覧会

舞の風展

日時 : 2009年6月30日(火)〜7月5日(日)

場所 : 東京都目黒区美術館区民ギャラリー

協力 : 座・からくり



目黒駅のすぐ近く、目黒川沿いの緑の遊歩道を抜けると、そこに美術館があります。
今回の展覧会は「舞」をテーマに東京での開催です。




ごあいさつ   

 今回はテーマに合わせて、それぞれ絵画、能版画などとからくり人形とのコラボレーションを開催。新たな視点を共有するねらいです。
 この展覧会の作家たちは20代から60代前半までとかなりの幅があります。作品の内容も水彩画、油彩画、アクリル画と様々ですが、いずれも自身の道を独自のスタイルで表現しています。いかに作家たちが社会と生活に向き合いどのような眼差しで制作を続けているのか、ご確認いただけたらと思います。
 これからも広く社会に提供し、会員の視点や活動の真価が問われる展覧会として総力を挙げて取り組んで行きたいと思います。



会場風景 美術協会「風」

平日にもかかわらず、多くの皆様にご観覧いただきました

「舞」のテーマにふさわしく、躍動感のある作品が並びました



 作品 


西川 直見
『風にのって』
アクリル

竹下 優子
『日本のリズム』
アクリル
木々の間から吹く風に二つのカテゴリーが響きわたる 嬉しい日は日本の装いで奏でたい





山内 明美
『MY COLOR』
アクリル


松原 亜矢子
『ひらひらと』
日本画

稲垣 幸子
『バリへの思い』
アクリル
心の中の舞を色々な色で表現してみました 美しい色を使いたいと花を選ぶ。描くと心が軽くなりました。 レゴンダンスはバリの宮廷舞踊・バリの伝統的芸術です





田中 毅
『天女』
油彩

多和田 忍
『舞』
アクリル
大好きな花に囲まれて、天女が舞い始めました 艶やかな伝統文化に魅せられて






会場風景 座・からくり


からくり人形とは(前編)

 能は13世紀から14世紀にかけて日本文化の最後のジャンルである演劇として登場します。現代まで演じ継がれています。
 江戸時代以降、能は幕府の専属芸能「式楽」となりました。それ故、庶民は祭りの中で、能や狂言を身近なものとして楽しむようになりました。
 神社の祭礼に山車を引き出す習慣は、日本を初めとして、インド、ネパールなどのアジア諸国に通じる独特な風習です。
 天井にある神が地上へ降臨されることを願い、祭りの間、神の宿とされるのが山車です。彫刻、塗り、金具を施し、刺繍や染めの鮮やかな幕で装飾し、その上に人形を飾る。
 「からくり」とは機械のことで、祭りのからくり人形が、江戸時代に芽生えた科学の芽を体内に秘め、遊びの中で育て、今に残す功績は大きいものです。
 



能や狂言にちなんだ、能版画の展示



からくり人形とは(後編)

 特別に作った三番曳人形は萬座仁兵衛の作で、能の「翁」の中で狂言方が演じる「三番曳」を人間に代わり、人形で舞わせようとするものです。
 「翁」は天下泰平、国土安穏を祈る白い翁の平和への舞であり、「三番曳」は大地の精霊を呼び覚まし、悪しきものを踏み鎮め、穂の魂が発芽するエネルギーと、成熟の喜びを表し、黒色尉という翁の面を付けて、神に変身します。
 「さんば之舞」の囃子は「序・破・急」といわれる独特のリズムで、能管、太鼓、小鼓で演奏し、出入囃子と三番曳の「揉之段」と「鈴之段」とで構成しています。
 農耕民族である日本人の、神に対する祈りの芸能である能の「翁」は、歌舞伎や人形浄瑠璃にも継承され、日本の原点です。

からくり人形とは 文 : 座・からくり代表 玉野 宮夫




オープニングセレモニーで演じられた、からくり人形の様子。
開催期間中、毎日上演され多くの皆様に喜んでいただきました。
からくり人形といえば、高山祭りをはじめとして東海地方では馴染み深いものですが、東京では珍しがられる方も多くいらっしゃいました。



黒い面を付け、神に変身した「翁」が舞う



今回の展覧会はいかがでしたでしょうか。ご来場者様からのご指導・ご鞭撻、まことにありがとうございました。
今後も真摯に、そして楽しく精進を続けてまいります。              美術協会「風」一同